マンネリ在宅身じまい処方箋
外出しなくなったり誰かに会う目的がなくなったりしたときに、じわじわと気力を蝕むものの一つとして「自分自身への関心の薄れ」は意外と大きい。
髪も化粧も服も、「なんでもいいやー」が何日も続くと、そのゆるさからの精神的脱却もリハビリも一苦労する。
厄介なのは最初はほんの些細な「これでいいや」から始まるのに、その蓄積がどんどん感覚を麻痺させ、
日に日にメリハリの境界線が自分でも曖昧になっていくこと。
もともと家で過ごすほうが好きな身としては外出を控えるように言われてもそれ自体には特にストレスを感じない。
が、在宅身じまいの「これでいいや癖」には対策を取らねば自堕落の緩勾配な坂道を知らぬ間に下りきってしまいそうで、
心地よい程度に緊張感のある境界線をゆるゆると探っている。
同じく在宅での身なりにマンネリを感じている方へ、この機会に試してみると面白いのではと思うのは、身支度の順番をこれまでと替えてみること。
在宅での身なりをどの程度整えるかは人によって様々なのでそれはそのまま、髪・化粧・服の支度順序だけを替える。
例えばこれまで一番最後に髪を整えていたなら、着替えより化粧より真っ先に、髪を心ゆくまで思うがまま整えてみる。
すっぴん&パジャマなのに髪だけやたらキマってる、そういう普段とは極端に違う状態で鏡を見ると、
髪と化粧と服の、新しい合わせ方やバランスの取り方に気付くことがある。
同じく、服は上から下までお気に入りフル装備だけど髪と化粧はすっぴんの状態。
または、化粧だけが仕上がっていて髪と服は寝起きのままの状態。
もっと言えば、化粧の中でも普段とは順序を替えてみても新鮮で、
買ったはいいけど勇気のいる色の口紅を目や眉など他のパーツに着手するより真っ先に使ってみて、それから他の部分を考えていくのも手。
アイラインよりもシャドウよりも真っ先にマスカラを塗ってみるとか、そんな小さな変更でもいい。
そうこうしていると、「この口紅の時は他のパーツはこのくらいの匙加減がいいな」とか
「これくらい髪が仕上がってたら服はこの程度でも意外とイケるな」とか、
「この服の時はこういう化粧もありかも」とか、何をどのくらい整えれば心地いいバランスになるか検討がつきやすくなってくる。
誰に会うわけでもどこに行くわけでもないけど、「誰かのための身じまい」をしなくて良いからこそ家の中でこっそりと思うがままに、
日々少しづつ色々な雰囲気の自分を試して、細やかで新鮮な発見があれば楽しいなと思う。