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2018年6月
37㎝169g

束にスッと入り込む優しい音と感触が、なかなか手放せずにいた3年分の感情との穏やかな別れを肯定してくれているようだった。
1束1束手渡されるそれの意外な重さにまず驚きながら、自分の体と繋がっていたついさっきまでは時に煩わしささえあったものに、離れてからのほうがなぜだか優しい気持ちで触れていた。切るにはきっといいタイミングだったんだ。

ヘアドネーションの為だけにロングを維持していたのかというとそうではなく、ロングに飽きた頃にふと思い出したのがきっかけ。
自分にとってはもう不要で掃いて捨てられるしかないものが誰かの役にたつと知ったら、捨てる理由も、31cm以上あるものをわざわざそれ以下の長さで切る理由も見つからなかった。

仕事柄、バッサリ切り落とされた髪を日頃掃きながら勿体ないと感じていたこともヘアドネーションに興味を持った理由として大きい。
正直これを知る前は、捨てるくらいなら切る前に了解を得て頂いて、カラーの勉強に使わせて欲しいと内心思っていたくらいだ。

医療用ウィッグにできる長さには規定があるが、それに満たない長さでも寄付はできる。
もしこれを読んでいる人が気分転換にでもばっさりカットも視野に入れているなら、試しにメジャーでも定規でも近くにあるもので測ってみてほしい。
襟足の髪、地肌から毛先までの長さが40cm以上あれば、規定の31cmと傷んだ毛先5cm程度を整えても、単純計算で襟足に4cmは残る。これならギリギリ肩上でボブにできる可能性がある(襟足の生え方にもよるので担当美容師に要相談)。
軽く動かせるようなショートでもいいのなら、31cmといわずウィッグの為に無駄なく長さを使える。

喜んでくれる人がいるという事実、やる理由はそれだけで充分だ。

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